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笹幸恵
2021.7.20 19:07日々の出来事

五輪開催と戦争突入の決定的な違い。

昨日、たまたま知人とワクチンの話になった。
どうもメディアに影響されやすい人のようで、
「だってホラ、オリンピックも戦争と同じだって
報道されているじゃない・・・?」と不安そうな顔。

浜矩子氏もそうだったけど、なぜオリンピックの開催を
戦争の大惨禍と結びつけることができるのだろう。
外国人選手が来たら、310万人の日本人の屍が累々と
横たわるとでもいうのだろうか。
大空襲とエクモの区別もつかず、惨劇シーンが
脳内「恐怖」フォルダに振り分けられて、
現実を直視できないでいるとしか思えない。
正気か。

ちょっと古い記事だけど、週刊ポスト5/7.14号に
載った記事なんか、五輪と戦争をとにかく結び付けようと
している典型だ。
コロナ禍で五輪強行開催へと突き進む現状 まるで「太平洋戦https://news.yahoo.co.jp/articles/fc021c51e8543f2bcf336ef201e4736a0e3ae25a

記事では島崎晋という歴史家が登場、彼によると、
「政府とメディアが“ここまで来たらやるしかない”と
突き進む現状が、不利な戦況を隠して戦争を続け、
国を敗戦へと追い込んだ太平洋戦争と重なって見える」
のだそうだ。
で、五輪開催を強行する政府のやり方は
「インパール作戦そっくり」で、
数々のコロナ対策は
「ガ島の『戦力の逐次投入』と同じ」
なのだそうな。

もう、どこかで聞いた話ばっかりだな。
日本軍の作戦はガダルカナルとインパールしかなかったのかい、
とツッコミ入れたくなる。


そもそも「政府とメディアが“ここまで来たらやるしかない”と
突き進む現状」があの戦争だったという前提になっているけど、
違うでしょう。
戦争に突入したのは政府とメディアだけじゃないですよ。
国民の圧倒的な支持を得た結果、ですよ。
ここは現在の五輪開催との決定的な違いです。
世論が支持するから、メディアも追随したのです。

国民がつねに無謬であるかのように思い込んでいる時点で
歴史家を名乗る資格があるのかどうか疑わしいし、
戦争に突入したことと、不利な戦況を隠したことは
別の事象なのに一緒くたにしていることも乱暴すぎる。


戦争は国民もメディアも政府もそろって望んだことなのだ。
反対の声はかき消され、非国民だの卑怯者だとの批判される
「空気」ができあがった。
問題は、ここなのだ。
言論を封殺(あるいは統制)し、異論を許さない「空気」が蔓延する。
これに似ているのは、少なくとも五輪の開催ではない
(異論は毎日メディアで取り上げられている)。
むしろワクチン接種のほうだ。
ネット上やSNSでワクチンに関して何かを言えば
注意喚起かソッコー削除。同調圧力は高まるばかり。
もはやワクチン話は触れてはならない(接種して当たり前の)
「空気」ができあがっている。

ポストの記事では、こう締めくくられている。

「開催すれば、再び国民が“一億玉砕”に追い込まれる可能性がある」

バカいうな。
歴史と日本語をまず学べ。
五輪選手と日本兵に失礼極まりない、じつに悪質な煽り。


五輪強行と戦争遂行が同じだなどという根拠は何一つない。
単なる印象操作に過ぎず、コロナ恐怖症の人々がまたひとつ、
怖いネタを得て欣喜雀躍しているようにしか、私には見えない。


笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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